【渋谷】予防接種とは何か?種類や投与方法について

予防接種は毒性を弱めた病原体を含有したワクチンを投与し、感染をあらかじめ予防する方法です。渋谷区をはじめ全国的に生ワクチン・不活化およびトキソイド、またこれらを混合したものを注射で投与するのが一般的です。

インフルエンザウイルスなど数々の感染症の元となるウイルスが活発化する季節に、目にする機会が多くなる予防接種ですがその意味を正しく理解しているかと言われれば不安になる方も少なくありません。小さいお子さんがおられる家庭では、その存在がより身近なものとなります。ここでは予防接種の基礎知識・意義とその種類について、そして混合ワクチンおよび投与方法に関して解説していきます。

予防接種とは何か

渋谷 予防接種

予防接種とは、病気の中でも主に感染症に罹患するのを防ぐための手法であり、病気への免疫をつけるための抗原物質であるワクチンを投与、すなわち接種することです。ワクチンには毒性を弱めたウイルス・細菌といった病原体および毒素が含まれており、これを体内に投与することで免疫を作り上げて病気の罹患率を下げるといった仕組みです。接種によって特定の病原体による感染症の発病、障害や死亡を未然に防いだり緩和させたりといった役割があります。加えて伝染病を社会に広めないという役割も担っており、個人だけでなく社会全体にとっても意義のある方策です。現代社会において、予防接種により200?300万人の死亡を回避していると報告されています。 事前に感染を受けることで、病気の症状を緩和させようとしたきっかけは天然痘です。紀元前1000年頃には既にインドにあったとされ、人痘接種法と呼ばれる予防接種が発明されていました。天然痘に罹患した患者の膿を摘出し、軽度の症状を発生させて免疫を得て軽減させるという現在のワクチンの仕組みの原型となっています。別名称で人痘法とも呼ばれるこの手法は、18世紀前半にイギリスからアメリカという順番にもたらされて いきます。 やがて日本にもオランダ経由で長崎に輸入され、天然痘のワクチンが導入されることとなりました。長崎から大阪に種痘所と呼ばれる施設が設置され、次いで関東にも置かれるようになります。お玉ヶ池種痘所という施設が、渋谷区の近隣である東京大学医学部発祥の地・千代田区にて設立されました。江戸期後半から明治時代にかけて、日本の医療が発達していく過渡期の話です。

予防接種の種類について

渋谷 予防接種

予防接種に用いられるワクチンは、主に3種類に分かれます。まず生きたウイルス・細菌の毒性を極力抑えて、症状が出ない程度にしつつも免疫が作れるほどに調整した生ワクチンを見ていきましょう。自然感染と同じ仕組みで体内に免疫が作られるため、一回接種するだけでも十分な免疫を得ることができます。ただし毒性を弱めた分、自然免疫よりも免疫力が弱まるために物によっては5?10年後に再度接種した方が良い場合もあるため注意が必要です。なおワクチンの種類により、2?3回に分けて接種する必要があるものもあります。もとの病気の、ごく軽い症状が副反応として発現することも覚えておきましょう。結核や麻疹・風疹、おたふく風邪や水ぼうそうなどが該当します。 ウイルス・細菌の毒性を完全に取り除き、免疫を作るためだけに留めたのが不活化ワクチンです。目当ての病気に罹患することがないものの、複数回にわたって接種する必要があるのが特徴です。B型肝炎や小児の肺炎球菌感染症、ポリオや百日せき・インフルエンザが該当します。この他にも日本脳炎や狂犬病予防、髄膜炎菌の対策としても用いられます。 不活化ワクチンと同じように、免疫を作り出すための製剤に挙げられ るのがトキソイドです。この二者は共通項が多く、いずれも病理の基となるウイルスや細菌をホルマリン処理などで毒性を除去して、免疫を作る働きだけを抽出して製剤した薬品です。トキソイドが用いられる病原菌予防には、ジフテリアと破傷風が代表的なものに挙げられます。単独のものや成人用のジフテリア対策、また二種混合ワクチンの素としても用いられることが多いです。

混合ワクチンとは?

渋谷 予防接種

多くのワクチンは液状タイプであり、有効成分を注射する形式が一般的となります。混合ワクチンは、複数のワクチンの成分を1つの薬液に集約したものを指します。一回接種することで、複数のワクチンを接種したのと同じ効果が得られるのが混合ワクチンの特徴です。原理としてはシンプルではあるものの、単に薬液・成分を混ぜただけではなく複雑かつ高度な技術をもって開発されています。 メリットとして挙げられるのは、受診および接種回数が減ることです。通院回数が減るため、打ち忘れや接種漏れが減るというのがポイントです。複数の免疫が短時間で得られるという点も、利点の1つとして挙げられます。医療機関の観点から見ても、扱う種類が減ることにより在庫が安定して患者に行き渡りやすくなること、接種ミスが減ることなどさまざまなメリットがあります。製薬会社から見て、生産ラインの節約や販売価格における利点が少なくありません。 日本で採用されている混合ワクチンの例を見ていくと、生ワクチン同士や不活化ワクチン同士など同種で混合するケース、不活化とトキソイドの配合など異種で混ぜ合わせるケースがあります。2種類を混ぜ合わせる二種混合は、定期接種となる 麻疹・風疹のMR、ジフテリア・破傷風のDTトキソイドが該当します。後者は、11?13歳の子どもが定期接種する対象となっている混合ワクチンです。三種混合は、ジフテリア・破傷風と百日咳を合わせたものであり定期接種です。さらに三種に不活化ポリオを混ぜ合わせた、四種混合も同様に定期接種のものとなっています。組み合わせのパターンはある程度絞られており、物質的な特性と接種のタイミングも似たようなものが多いのが共通項です。

予防接種の投与方法について

渋谷 予防接種

日本においては、予防接種の投与方法は皮下投与によるものが一般的です。多くの単独ワクチンおよび混合ワクチンが、皮下注射によって投与されています。注射される部位は上腕の、三角筋の外側もしくは後側下三分の一部分に接種されるのが一般的です。乳幼児の場合、大腿部の前外側部に注射が行われることもあります。皮膚に対して針を斜めに刺して、皮下組織に薬液を注入する手法です。 ワクチンの種類によって採用されているのが、筋肉内投与となります。HPVや髄膜炎菌、13価結合型肺炎球菌のワクチンが対象です。他は皮下投与となっているものの、不活化ワクチンの一部は局所反応が出やすいためなるべく筋肉注射に近い状態で皮下注射を行う医師も存在します。 経皮投与が採用されているのは、結核予防のためのBCGです。採用されているのは管針法というものであり、スタンプ法およびハンコ注射とも呼ばれていて、上腕の2箇所にスタンプを押し付けるような方法で接種します。日本の他に韓国やフランスなど、一部の国でも同様の方法が採用されています。ロタウイルスのワクチンは経口投与で、欧米エリアにおけるインフルエンザの生ワクチンは経鼻噴霧投与です。なお経鼻噴霧投与 は、日本においてはまだ承認されていません。 ちなみに世界各国と比べて、日本は皮下注射が多い傾向にあります。過去に抗菌剤を投与した際に、筋肉注射を実施したことにより薬害が出たのが原因です。ワクチンとは直接的な関係がないものの、筋肉注射自体が避けられることとなり現在のように皮下注射が主流となっています。生ワクチンに至っては、皮下注射の方が抗体が上がりやすいとされるため世界においても皮下注射が推奨されています。

予防接種は特定の感染症に罹患した状態を人為的に作り出し、体内に免疫を作ることで症状を和らげたり罹患確率を下げたりする役割を持ちます。加えて接種により個人を守るだけでなく、社会全体を守ることにも繋がります。